エーデル土山さんの働き方改革①【取組開始 編】
「超ブラックな職場だった…」
離職率40%のどん底から、今では入職希望者が行列を作るほどの人気の職場を作ることに成功したエーデル土山という介護施設があります。
「慢性的な人手不足」と言われて久しい介護業界で、なぜこれほど人材確保がうまくいっているのか?
一体、どんな考えのもとで何をしたのか?知りたくないでしょうか。
これはあくまでも介護業界の事例なのですが、正直どの業界の中小企業にもあてはまる実践例です。そして、お金をあまり掛けない実践ばかりなので、強烈に参考になることばかりです。
改革の中心である廣岡施設長をインタビューし、教えて頂いた内容をあなたにもお伝えします。
もしあなたが自社の人材確保に少しでも困っているのなら、ぜひとも学んで応用して頂ければ嬉しく思います。
まずは体制を整備しました。
つまり、人材確保(採用・定着)のためのプロジェクトチームを結成したのです。
そのメンバーは、中心となる廣岡施設長を含めた4人。
毎月1時間の打ち合わせを行いつつ、様々な施策を次々と実践していったそうです。
人材確保を実現するために必要な「基本的な考え方」とは?
廣岡施設長からまず教えて頂いたのは、離職率40%という状態から、入職希望者が行列を作るまでに改革できた、人材確保についての基本的な考え方です。
- 「人材採用」より「定着」を優先させる
- 小さな改善をコツコツ積み上げる
- 経営的視点は重要。しかし経費を掛けなくてもできることは沢山ある
- 「最低人員」を増やす。余裕ができ 様々な施策が打て、人材定着の好循環になる
特に 1 について、施設長は、風呂に喩(たと)えてお話して下さいました。
「お風呂にお湯を溜めようとして、蛇口をいっぱいにひねってお湯をどんどん入れる。
でも、もしお風呂の底の栓が抜けていたら、いつまでたってもお湯はたまらないですよね?
施設も同じです。職員が毎年たくさん退職していく現状(エーデルさんも、数年前は全体の4割の職員が毎年辞めていく状態だったそうです)をなんとかしないと、いくら新規に職員を採用・補充しても、すぐにどんどん辞めていく。そうすると、職場の全員が疲弊し、悪循環に陥るだけでしょう。だから、お湯を入れる前に、まずはしっかりと栓をしないといけないのです。」と…。
そうなんです。「採用できない」「人がきてくれない」と嘆く前に、
まずは、職員ができるだけ辞めないような職場に変えなければならないのです。
これを、まず第一に、絶対に実現しなければいけない。
どうやってお湯を入れようか?と考える前に、まずは湯の流出を防ぐ。
しかも、一刻も早く、です。
わかりやすく数字で言うと、離職率10%未満には、どうしてもしたいところです。
そして、職員が辞めない職場を実現するためには、
職員ができるだけ楽に仕事を続けられる「働きやすい」職場環境を作り出すことが絶対に必要だ、ということなのです。
まずは、その一点、「働きやすい」職場環境づくりに集中することが大事なのだと思います。
「職員の働きやすさ」とは何か?
ところで、「働きやすさ」っていったいなんでしょうか?
施設長をはじめとする働き方改革のメンバーは、まずそこを考えたそうです。
そして、メンバーが出した答えは…?
■ 働きやすさとは?
- 連休が取れる
- 定時に帰れる(残業なし)
- 希望休が取れる
- 重圧が少ない
- 心身ともに苦しくない
ということだったそうです。
これを実現できる職場こそが、「働きやすい職場」だ、と。
「よし、こういう職場を目指そう」
と決めたそうです。
しかし…、当時の離職率、なんと40%!
これは、なかなかの数字ですよ…。介護業界の平均でも15%程度ですからね…。
そこでまず、職員がどうして辞めるのか?
退職する理由を徹底的に調べてみたそうです。
そうしたら、次の3つに集約されたそうです。
■ 職員が辞めていく3大理由
- 残業の多さ
- 腰痛
- メンタル不調(人間関係)
そこで、これらを「全部ゼロにしよう!」と決めたそうです。
その取り組みを【トリプルゼロ】と名づけ、施設全体で強力に推進。
■ トリプルゼロとは?
- 残業ゼロ(サービス残業がゼロではなく、残業や早出そのものがゼロ)
- 腰痛・労働事故ゼロ
- メンタル不調ゼロ
この、3つのゼロを目指し、様々な取組をスタートさせるのですが…
すみません…、ものすごく長くなりそうなので
次回、①の残業ゼロの取組みから詳しくレポートすることにします…。
今日のところは、ここまでです。
では、次回からのレポートをお楽しみに。